2017年5月26日
今日はミシン糸の誤食により、腸閉塞になってしまった猫ちゃんを紹介します。
症例はまだ10ヶ月齢の子猫です。朝から15回位嘔吐しているとのことで来院されました。
単純レントゲン検査、血液検査では大きな異常は認められず、経過をみるため点滴をしながらの入院管理を行いました。
しかし、翌日また嘔吐したため、異物を疑いバリウム検査を実施しました。
バリウム検査のレントゲン写真がこちらです。
通常は食道から胃に入ったバリウムは時間の経過とともに小腸、大腸へと流れていきますが2時間経過しても全く流れませんでした。これは腸閉塞の所見です。また、食道の部分に一直線のバリウムが残っています。食道は通常はバリウムが停滞しないのでこれだけでも異常所見になります。
飼い主さんと相談の結果、消化管内異物を疑い、開腹手術を行いました。開腹したところ、小腸領域すべてが変色し腸がよれよれの状態でした。これはひも状の異物の所見に類似しているため、小腸を切開したところ、細い糸が見つかりました。糸は舌根部から、食道、胃、小腸、盲腸の部分まで一本のままつながり、腸閉塞を起こしていたことがわかりました。胃を1か所、小腸を4か所切開する大変な手術でしたが麻酔からの覚醒もよく翌日にはかなり元気が戻りました。
この子は約1週間入院し、無事に退院していきました。
異物の誤食は比較的若齢の動物に多く見られます。噛んで遊んでいるうちに間違って飲み込んでしまうことがあるようです。飲み込めるサイズのもので遊んでいる場合は注意してみることが大切です。誤食癖がある場合はペットのそばに置かないように工夫することも大切です。皆さんもペットの異物の誤食にはお気を付けください。
桜新町動物病院 佐藤